ウエハ搬送装置とは?
ウエハ搬送装置とは、半導体の製造現場においてウエハ(半導体の基板となる薄い円盤)を運ぶための装置です。主に、ある工程から次の工程までウエハを移動させる際に使用されます。
この装置を導入することで、自動で正確かつ安全に運ぶことができるため、人的ミスや不良品を減らせます。
本コラムでは、ウエハ搬送装置の用途や求められる性能などをご紹介しております。装置の仕様検討においてお悩みの方は、ぜひ本コラムをお役立てください。
ウエハ搬送装置の用途について
ウエハ搬送装置は、主に以下のような用途で使用されています。
- 複数枚の同時運送
- クリーンな状態で運送
- 基板へのダメージを抑えた運送
装置導入の主な目的の1つは製造効率の向上です。次工程へ同時に運送できるウエハの枚数が増えるほど効率が向上するため、1度に複数枚のウエハを運ぶ用途に活用されています。
さらに、運送時の振動や衝突による品質不良の低減も可能です。移動時の振動を抑える仕様にすることで、こうした品質不良の発生を抑えることができます。人の手を介さないため、人的ミスを減らし、クリーンな状態での運送も可能になります。
ウエハ搬送装置は、このような用途や目的で使用されますが、装置によって仕様が異なります。導入時には、目的や用途に合った仕様であるかを確認しましょう。
ウエハ搬送装置に求められる性能
ウエハ搬送装置にはどのような性能が求められるのでしょうか。性能を決める際は、先述した用途や目的を踏まえて決めるとよいでしょう。
ここでは例として、ウエハ搬送装置によく求められる性能をご紹介します。
- 衛生的な環境での高速運送
- 運送時における振動の最小化
- さまざまな大きさのウエハへの対応
求められる性能を満たしていなければ、装置を導入しても期待通りの効果は得られません。既製品から装置を探す際、もしくは特注する際には、自社での用途に合わせた性能や機能などをあらかじめ検討しておくとスムーズです。
ここからは、なぜ上記のような性能が求められるのかをより具体的にご説明します。性能や機能についてお悩みの方は参考になさってください。
衛生的な環境での高速搬送
ウエハ搬送装置によく求められる性能の1つが、衛生的な環境での高速搬送です。
半導体ウエハは表面に微細な回路を組む必要があり、限りなく平坦になるように研磨されています。表面に少しでもほこりや汚れが付着すると、性能を大きく低下させるため、可能な限り清潔な環境での搬送が求められています。
ただし、汚れが付着しないよう丁寧に運ぶとなると時間がかかってしまいます。したがって、クリーンな環境でなおかつ生産効率を下げずに搬送できるように工夫する必要があるのです。
生産性を維持するには、先述したように複数枚を一度に運ぶ方法や、搬送速度を上げる方法など、いくつかの手段があります。
工程内にウエハ搬送装置を組み込むことを考慮し、どの方法が一番利便性が高いかを検討するとよいでしょう。
搬送時における振動の最小化
搬送時における振動の最小化も、ウエハ搬送装置に求められる性能の1つです。
製造工程間で輸送する際に大きな振動が生じると、ウエハが傷ついたり、パーティクル(ほこり・ゴミなどの微粒子)が発生したりする恐れがあります。搬送時の振動を最小限にできれば、ウエハのダメージや微粒子発生の防止につながり、不良品を低減できるでしょう。
不良品を低減できるということは、生産コストの削減にもつながります。そのため、導入による初期投資は、やがてメリットとして回収できる可能性が高いといえます。
さまざまな大きさのウエハに対応可能
半導体製造で使用されるウエハの大きさには、直径50mm程度から300mm以上まであります。基本的には製造コストの低い大きなサイズが使われていますが、小さいサイズも使用されています。
製造工場で異なるサイズのウエハを取り扱う場合は、どのサイズでも対応できるような仕様が求められます。
また、生産ラインの段取り替えに時間がかかるほど、生産活動への影響も大きくなります。そのため、異なるサイズのウエハを扱う際に段取り替えの時間を短縮したいと考える方も多いでしょう。
その場合は、段取り替えが不要、もしくは短縮でき、さまざまなサイズに対応できる搬送装置を選ぶとよいでしょう。
ウエハ搬送装置の導入を検討する際の注意点
ウエハ搬送装置の導入を検討する中で、どのような点に注意するとよいのでしょうか。先述したように、一つは用途や目的に合わない装置を導入しないよう注意しなければなりません。
また、あらゆる便利な性能や機能を搭載したウエハ搬送装置は一見利便性が高いように思えますが、必ずしもそうとは限りませんので注意が必要です。性能や機能が高いということは、それだけ対応できる範囲が広がるため、操作が複雑になり、扱える人が限られてしまう可能性があります。
したがって、不要な機能を省き、必要な機能だけを搭載した装置を導入することで、操作が簡単になり、誰でも扱いやすくなるでしょう。
これらに注意するためには、問題点の洗い出しと仕様の確認を念入りに行う必要があります。
1.現状の作業における問題点の洗い出し
ウエハ搬送装置の仕様を検討する前に、まずは現状の作業における問題点を洗い出すところから始めましょう。問題点を洗い出すことで、どのような性能や機能が必要になるか検討しやすくなります。
たとえば以下のように、箇条書きでも構いませんのでいくつか挙げていきます。
- 人為的ミスが頻発している
- 作業効率が悪く生産性が落ちている
- 品質が不安定
なお、問題点を確認しながら仕様を検討すると見落とすことがあるため、問題点を一通り出してから仕様について考えるとよいでしょう。
2.改善につながる仕様が盛り込まれているか
上記で問題点を洗い出した上で、それを改善できる仕様になっているかを確認する必要があります。せっかく装置を導入しても、仕様が不十分であれば、費用が無駄になってしまう可能性があるためです。
たとえば、生産性の低さが問題である場合、次工程までの搬送効率の向上や品質不良率の低減が改善策として求められます。そのため、導入を検討する際には、搬送効率や品質向上を重視して装置を選定することが重要です。
ただし、既製品ではすべての要件を満たすものがない場合もあります。その場合は、特注することで、より用途や目的に適したウエハ搬送装置を導入することができます。
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