プリント基板検査治具の役割・重要性について解説
プリント基板検査治具とは、製作されたプリント基板の品質を確認する際に使用される治具です。
治具によって備わっている機能は異なり、たとえば対象のプリント基板を正確な位置に固定し、作業中に基板や配線がズレないようにするために使うものなどがあります。ほかにも、プリント基板検査治具に組み込まれたプローブを基板に当てて電気を流し、部品や回路に通電するか確認したり、設計どおりに動作するかチェックしたりといったテストをすることも可能です。
検査治具を使用すればテストにおける作業を標準化でき、手作業でおこなうよりも作業時間を大幅に短縮できます。作業の正確性も向上し、不良品の発生やそれに伴う回収、再生産などのコストを省くことも可能です。
プリント基板とは?
プリント基板とは、電子部品や配線などを配置して電気回路を形成したものです。電子部品を一箇所に集約して電気信号を送れるため、電子機器の小型化に役立っています。
プリント基板は、多くの人が使用するスマートフォンやコンピューターのほか、医療機器、産業ロボット、自動車、航空機まで、さまざまな製品で用いられており、電子機器の小型化・高機能化に必要不可欠です。
プリント基板を一度作れば、その電子回路をもとにして同じ製品を量産することも可能です。人の手による作業よりもスピーディーかつ均一な品質を維持でき、大量生産が求められる電子機器の製作にも役立っています。
プリント基板の種類と役割
プリント基板は材料や構造などによってさまざまな分類がありますが、ここではベースとなる材料による主な種類を紹介します。
- リジッド基板
リジッド基板は、エポキシ樹脂などを含浸させた紙やガラスなどが使用されたもので、固いことが特徴です。柔軟性がなく変形しないため、装置に固定しやすく、家電や産業機械などに使用されています。安価で加工しやすく、強度も高いというメリットがありますが、耐熱性や吸湿性は高くありません。
- フレキシブル基板
フレキシブル基板は、ポリエステルなどのポリマー基材が用いられることが多く、リジッド基板と異なり、柔軟性があるのが特徴です。軽量化が求められる薄型ノートパソコンや、折り曲げられる特性から液晶モニターなどに応用されています。
- リジッドフレキシブル基板
リジッドフレキシブル基板は、強度が高く固定しやすいリジッド基板と軽量で柔軟性のあるフレキシブル基板の特性を併せ持ったものです。基板間の接続でコネクタを使う必要がないため、電子機器をより薄く、より軽量にできるというメリットがあります。
安久工機では、プリント基板のテストに使用する治具の設計から製造のご依頼をお受けしています。多様化するプリント基板の種類や使用用途に合わせて、適切な治具の特注品を一点からお届けすることが可能です。
プリント基板検査治具の製造に関するお悩みは、安久工機にお任せください。
プリント基板の検査では何がわかる?
プリント基板のテストでは、以下などの項目を評価する必要があります。
- 基板や部品に破損や汚れなどがないか
- 基板や部品の内部に欠陥がないか
- 断線やショートがないか
- 電気を流したときに仕様どおりに動作するか
- 想定する使用環境で正常に動作するか
上記のような評価をとおして、プリント基板の品質や信頼性、機能性をチェックします。テスト段階で製品の不良が見つかったら早期に回収、改善する必要があります。
プリント基板検査治具は、精密な評価結果を出すために重要です。正確に固定、接続などができなければテスト結果の信頼性が落ち、再テストの手間やコストがかかったり、不良品が市場に出回ったりするリスクがあります。
プリント基板の検査の種類と治具の活用シーン
プリント基板の主な試験の種類には、主に外観・導通・機能検査があります。
たとえば、外観検査では製品を固定してカメラで正確に撮影する治具、導通検査では指定の位置にプローブを当てて電気を流し、回路の不良がないか確認する治具などを用いることが可能です。
機能検査では、製品を検査機に固定、接続して、仕様どおりに動作するかを確認するものなどがあります。
各検査において治具に求められる性能は異なり、それぞれに適切な治具を用意することが大切です。以下では、それぞれの検査の内容や、治具がどのように活用されているのかを詳しく解説します。
外観検査
外観検査は、プリント基板上の部品やはんだ付けの欠陥などをチェックするためにおこなわれるテストです。外観から部品の状態や配置を確認したり、カメラや光学センサーを使用して部品の異常などを検知したりしていきます。
外観検査では、カメラやセンサーを使用する際、製品をしっかり固定するための治具を用いることがあります。正しい位置に固定することで、より正確に部品の外観を読み込めるため、検査の精度を高めることが可能です。
このような治具を使えば指定の位置に固定できるため、テストの時間を短縮でき、小さなズレによるテストのやり直しの手間も省けます。
導通検査
導通検査は、プリント基板にきちんと電気が流れるかを確認するテストです。導通検査をおこなうことで、配線のショートやオープン(電気が流れないこと)をチェックできます。
電気が正常に流れないとプリント基板がきちんと動作しないため、発見次第速やかに対処しなければなりません。
導通検査で使われる治具には、複数のプローブをプリント基板に当てて通電性を確認するものなどがあります。ほかにも、実際にプリント基板を接続するコネクタを想定して製作した治具を用いて、導通検査機に接続するものもあります。
機能検査
機能検査は、プリント基板が設計どおりに動作するか確認する工程です。想定される使用環境で製品を動作させたときに、仕様に沿った動作をするかを確認します。主な確認項目に、以下などがあります。
- 電圧・電流・信号波形の出力
- 配線の接続不良やショート
- LEDの点灯
- スイッチの動作
- テストプログラムの入力による動作確認
機能検査では、製品の機能に関する問題を細かく、精密に確認していくことが可能です。
治具には、基板上の配線に接続して、電気信号やテストプログラムを入力できるような構造のものなどがあります。プリント基板の機能検査は、製品によって要求される内容が細かく異なるため、それぞれの製品に特化した特注品が作られることも多いです。
プリント基板検査治具の製作なら安久工機にお任せください
プリント基板の製作には、外観の検査から実際の使用環境を想定した機能検査まで、複数の検査が必要です。
製品の検査をおこなう際に必要な検査治具も、各製品のテスト内容に合わせて特注が必要な場合もあります。
安久工機では、プリント基板検査治具など、さまざまな治具の製作実績があります。多様化を続けるプリント基板の検査内容に応じて、ご要望どおりに精密に仕上げることが可能です。
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